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【第5章】ガス機器事故再発防止対策(第3回)(昭和50(1975)年~)

③ 具体的な給排気設備改善について

改善方法

給排気設備への取り組みとして、不備のあるガス機器をどう改善するかかが考えられました。まず、既存設備の不備を改善する具体的な方法を需要家に提案していきました。

 

具体的な改善例は次の通りです。

 

  • 単独または共用排気筒による改善
  • 新規安全型機器(BF型、RF型)への取替
  • 強制排気方式(安全システム付き)への改善1

 

 

浴室給排気設備不備の改善

戸建てで、浴室が外部の壁に面していると比較的簡単ですが、浴室が内部にある時は費用が割高になるので複数の案を提案します。共同住宅では非常に難しいのですが、大部分共用排気筒を使いました。

 

例えばそれは、日本住宅公団や都営住宅などの公営住宅、公務員住宅などですが、特に公営住宅は給排気設備がよくありませんでした。民間の賃貸住宅などでも不備が数多くありましたが、10数年かけて取替や建物の建て替えなどを行いました。

 

 

④ 改善用BF型風呂釜の開発と取替促進

既存のCF型風呂釜を取り替えるときは、既存の風呂釜の幅にあった安全型 機器の開発が必要でした。そこで、安全なバランス型機器の開発が行われました。 

 

  

単独排気筒の浴室上部に給排気部をつけた二重管方式のバランス型機器・BFDP型風呂釜【図 参照】 を、機器メーカーの(株)ノーリツとパーパス(株)が開発し、それを旧型風呂釜の取替用商品として販売しました。

 

この商品は既存機器の買替え用として、東京ガス管内だけでなく、一般の市場でも販売され、需要家設備の安全化に大いに貢献しました。なお、本機器は、現在でも販売されています。

 

 

⑤ 浴室のリフォームを兼ねた、新規機器への取替

抜本的な対策として、給湯器を室外に設置し、浴室内に浴槽・給湯栓・シャワー等を組み込んだ浴室ユニット商品が開発され、販売しています。リフォームの一環として付加価値を付けたプラス思考の浴室改造により、これも需要家設備の安全化に大いに貢献しました。

 

 

⑥ 新規ガス設備工事時の給排気設備チェックシステム導入

東京ガスでは、新しくガス設備工事を行なうときには、給排気方式を都市ガス事業者が点検するというシステムを導入しました。このチェッツクシステムは、新たな不良給排気設備を作らないための仕組みです。結果として、当時存在していた不備設備が減少し、ガス事故の減少に貢献しました。

 

 

⑦ 小型湯沸器・ストーブ換気対策の特別巡回

事故の再発防止のため、該当機器を所有する需要家への特別巡回も毎年繰り返し実施されました。特に、小型湯沸器については排気ガスのCO値を測定し、所定値を越えた機器にはオーバーホールのおすすめや安全型機器への取替をすすめたのです。その後、不完全燃焼防止機能付き機器が開発されたので、この種の事故は急激に減っていきました。

 

その他、小型湯沸器、ストーブを使用する際の換気注意や、ガス漏れ時に警報を発信するガス漏れ警報器の設置を要請するなど、異常時の対応方法などを周知しました。行政指導として、定期的に行う法律上の安全周知・調査とは別に、事故が多発した時点では、何回も特別巡回を要請されました。

 

 

⑧ 老朽化したガス機器所有需要家への周知、取替要請

安全周知の一環として、ガス機器の使い方を注意するとともに、老朽化した機器の掃除や、オーバーホールするよう、使用者には特別巡回などで繰り返し要請しました。特に、小型湯沸器の老朽化対策は重要でした。また、開発した安全装置付き機器への取替は、積極的、継続的に要請がなされました。

 

 

 

 

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