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【第1章】都市ガスの歴史と保安(第五回)

2. 都市ガスの安全対策(続編)

 

都市ガス中の一酸化炭素(CO)と換気の問題(続編)

 

―英国、米国映画の例―

 

 イギリスロンドン市内では、ガス中毒の話が映画の場面にも出てきます。

都市ガスが自殺の手段として使われていたことが、1952年にチャップリンの映画『ライムライト』などに見ることができます。

 

 

ガスの臭いのする若いバレリーナの部屋に、チャップリン演じる老優 カルべェロ(主人公)が入って行き、生活苦で自殺しようとしていたバレリーナのテリーを救うという話ですが、当時はガス自殺が話題になっていたのです。

 

 

 『ライムライト』では、娘のテリー(バレリーナ)が、室内でガス自殺を図りますが、カルべェロ(主人公)がガスの臭いに気が付き、テリーを室外に運び出し、医者のところへ連れていきます。

「医者のガス栓は閉めたのかね」の一言で、主人公は急いで戻り、ガス栓を閉めるのですが、この一連のストーリーは、その後のガス事故対策を表現しています。

 

 また、この『ライムライト』の8年ほど前に公開された映画『ガス灯』(米国版・監督ジョージ・キューカー、主演イングリット・バーグマン、シャルル・ボワイエ)にも都市ガスが使われています。

これは、CO中毒の話ではなく、ガス設備の管理をトリックに使った映画です。

『ガス灯』では、住宅用建物の外部から都市ガスの元栓を操作して、住宅室内の照明用ガス灯の炎を大きくしたり小さくしたりして、主人公の不安な心理をあおるのに使われています。

 

外の都市ガス元栓を開けたり閉めたりの操作は、本来、ガス会社の職員の仕事であり、素人にはできませんが、ドラマの中では、犯罪の手段として使われたのです。

 

これらの現象は、都市ガスが他のライフラインと違い、火の扱いや排気の処置を誤るとCO中毒や爆発につながり、人の生命・財産に直接影響をすることがわかるエピソードです。

このため、ガスは特別の注意が必要なエネルギーであると言えるのです。

 

 

 

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