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【第1章】都市ガスの歴史と保安(第四回)

2. 都市ガスの安全対策

 

都市ガス中の一酸化炭素(CO)と換気の問題

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17世紀に西欧で石炭の乾留(蒸し焼き)による石炭ガスという燃料が発明されました。

19世紀になると、英国で石炭ガスを原料とする本格的な都市ガス事業が始まり、上下水道などとともに、ライフラインの一部としてガスが位置付けられるようになりました。

しかし、火の不始末による火災のリスクと排気処理の問題は、当時から人類共通の課題だったことに変わりはありません。

 

石炭ガスには、もともと可燃性の一酸化炭素という成分が含まれて います。これが人体に入ると血液中のヘモグロビンと結合して、酸素の補給ができなくなり、CO中毒を起こします。そこから、ガス機器の排気処理を含め、換気の問題が出てきました。

 

CO中毒には、供給されるガスの漏洩と自殺者志望者の故意のガス放出によるCO中毒、ガス機器の不完全燃焼による燃焼排気CO中毒の2種類の問題があります

 

このように都市ガスには当初からCO中毒の問題が内在していたのですが、当時の英国ではガスを利用する人は比較的富裕層で人数もすくなかったのと、個人の使用責任が明確な国柄ゆえ、事故が起きても大きな問題にはなりませんでした。

安全の問題は使用者の責任として処理されていたようです。

 

日本でも明治時代から大正、昭和20年代くらいまでは、都市ガスを利用する人は主として富裕層だったので、使う人も少なく、ガス機器もあまり普及していませんでした。

また、気密性が低い木造住宅が多かったため、事故も少なかったのです。

 

明治時代以降、炊事用の熱源は、薪・木炭から徐々に都市ガスに変わり、今では上下水道・電気・通信・鉄道などとともにライフラインとして大切な役割を担っています。

中でも、室内で火を取り扱う際の都市ガスの安全性と排気の処理は大変重要になってきています。

 

都市ガスをはじめとする熱エネルギーは「取り扱いを誤ると危険」の思想があり、 使用者個人が注意しなければならないという原則は昔も今も変わらないのです。

 

 

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