1. 太古から「火」は貴重な存在だった
連載第3回
④火事など災害の問題
火事は火の不始末や自然災害などが原因で発生しますが、その対策は消火活動しかありません。
本格的な防火対策は近年になって急速に進歩しましたが、建物が耐火構造になっても火事はなくなっていません。
現代の日本では、防火への対策は、国が定めた法令と、それに沿った地方自治体など公的な機関での防災対策が基本になっています。
―江戸の火事と火消しー
江戸時代、江戸の人口密度は世界一といわれるほど高いものでした。
「火事と喧嘩は江戸の花」と言われるぐらい、江戸の町は火事が多く、このため「火消し」という消防組織がありました。
町民の住む長屋は木と紙でできていて、密集した建物の中で、薪や木炭で調理していましたから、いったん火事が起きると、たちまち延焼し大火につながってゆきました。
特に冬から春先は、乾燥した季節風にあおられて、大火になることが多かったのです。
明暦3年(1657)「明暦の大火」は、江戸の山の手3か所から出火し、北西風によりあっという間に燃え広がりました。この火事で江戸市中の大半が焼け、江戸城天守も焼失しました。焼死者10万人以上、江戸時代最大の被害を出した大火でした。
この「明暦の大火」だけでなく、江戸時代には大火事がいくつも発生しました。幕府は、定火消し、大名火消し、町火消紙などを組織して対処しましたが、それでも火事は減らなかったようです。
―現代と都市ガスー
都市ガスという「火」が登場した現代の日本ですが、都市ガスの使用環境は昔と違っているので、都市ガスを使う人が注意すればよいということだけではなく、都市ガスの供給者やガス機器を製造する人達も、共同で都市ガスの安全性を高めることが必要になってきました。
何故なら、事故が発生すると、一般の商品と違って、人の生命・財産に影響するので、特に都市ガスの供給やガス機器を提供する側は、法律上の責任と同時に、道義上の責任も負わなくてはならないと認識する必要があるからです。
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