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【第7章】安全化策を講じたガス機器の近代化の実現(第4回)

Ⅰ最新のガス機器・システムの紹介

ここではフェイルセーフの安全システムや、快適性、省エネ性、機能性、健康までにも配慮した最新のガス機器・システムを見ていきます。

1 フェイルセーフの観点から見た最新の機器の状況

(1)風呂・給湯・温水暖房システム

風呂・給湯・温水暖房システムのガス燃焼機器は、外置式となっているので、給排気によるCO中毒の恐れは全くありません。また、空焚き防止、過熱防止など、火災防止安全装置も付いているので、火災の心配もありません。             

地震災害などの異常時は、マイコンメーターがガスの供給を止めてくれるので安全です。このように、現在のガス機器・システムは、地震災害も考慮した安全システムになっているので「ガスは安全」なのです。

 

(2)厨房機器

一日に何回も使う厨房機器は、うっかりミスや高齢化による消し忘れなど、ガス事故に結びつくことがいろいろあります。しかし、最新の厨房機器は、それらのミスに完全に対応するフェイルセーフ構造になっています。

現在の厨房機器には以下のような機能がついています。

 

①立ち消えを防ぐ

煮こぼれや風のせいで、知らない間に火が消えてしまっても、自動でガスを止めてくれます。

 

②消し忘れを防ぐ

うっかり火を消し忘れていても、コンロは約120分、グリル両面焼きは約15分、グリル片面焼きは約20分~30分で自動消火します。

 

③てんぷら油の過熱を防ぐ

てんぷら油が燃え出す温度の、手前約250℃になると、センサーが自動で火を弱くします。さらに温度が上昇した場合、ガスを止めて発火を防ぎます。 

 

④さらに安全性を高める安心機能

鍋を置いていない時には点火せず、点火中に鍋を外すと弱火になります。

また、万が一鍋を外して放置しても、1分後に自動消火してくれる「鍋なし検知機能」や、コンロ使用中に震度4~5程度の揺れを感知すると自動的に消火してくれる感震機能がついたコンロもあります。

 

(3)小型湯沸器 

小型湯沸器は、短時間でかなり多くの空気を使うため、換気が十分でないと、CO中毒事故を起こす可能性があります。約30~60年前には、小型湯沸器によるCO中毒事故が多く起きていました。しかし、現在の小型湯沸器には、CO中毒事故を絶対に起こさせない「不完全燃焼防止装置」が付いています。

小型湯沸器のガスバーナーが、換気不良により不完全燃焼となりCOが発生すると、「不完全燃焼防止装置」が作動し、ガスを停止します。

さらに、同じ操作を3回繰り返すと「再点火防止装置」が作動し、小型湯沸器が使用できない仕組みになっています。この場合は、ガス機器の修理専門店に対応を依頼することになります。

 

小型湯沸器の不完全燃焼によるCO中毒は、死亡事故につながる可能性があるので最大限の安全機能がつけられています。さらなる安全装置として、点火後約10分で自動的に消火する「消し忘れ防止装置」、立ち消えなどで、炎が消えると自動的にガスを止める「立ち消え安全装置」、正常に点火しなかったらガスを止める「点火時炎検出装置」、機器内部の温度が異常に高くなった時にガスを止める「過熱防止装置」などのフェイルセーフの安全装置も付いています。

今では、小型湯沸し器のガスCO中毒事故の発生は、ほとんどなくなっています。

 

(4)暖房機(ガスストーブ)

部屋の中で使用するガス暖房機器としては、ガスファンヒーターが主なものです。

ガスファンヒーターは、部屋の中の空気を使ってガスを燃やすので、長時間使用する場合は、部屋の換気が重要です。昔は、部屋の中で使う開放型ガスストーブの換気が不足してCO中毒事故に至るケースがありました。

 

今のガスファンヒーターには、間違った使い方をしても、絶対にCO中毒事故などのガス事故を起こさないフェイルセーフ構造の安全装置が付いています。

安全装置としては、「不完全燃焼防止装置」、「立ち消え安全装置」、「加熱防止装置」、「転倒時ガス遮断装置」、「停電時安全装置」、「過電流防止装置」、「換気不良時に換気を促すサイン点滅とお知らせ音」などが付いています。

 

現在は、部屋の空気を使用しない、効率的な温水による床暖房方式や温風暖房方式が主流になっています。

 

それにより、約30~60年前に多発した、開放型ガスストーブのガスCO中毒事故はほとんどなくなりました。