Ⅰ 機種別安全機器の近代化の歴史
(6)接続器具
昭和30年代の主な接続器具は以下のようでした。
接続具の種類
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・赤ゴム管・・・・・・・・・・大部分はこのタイプでした。
・よろいゴム管・・・・・・・亜鉛メッキ鋼板をらせん状にした中へ、ゴム管を通して使います。
・絹巻らせん管・・・・・・・亜鉛メッキ鋼製らせん管の合わせ目を、細いゴム糸で機密にして、その上に人絹糸を編み上げ、さらに透明ビニールを被覆したものです。(下図右)
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ガス栓の種類
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・通常のコック式ガス栓(上図左)
・バネカラン・・・・・・・・・ゴム管がガスコックのゴム管口から外れると、自動的にガスが止まる構造のものです。
・ボックスカラン・・・・・・床面に取り付け、使わない時はふたが床面と同じ高さになります。
・埋め込みカラン・・・・・・壁に埋め込んで取り付け、ゴム管差し込み口を壁内に納めてあれば、コックを開いてもガスが出ないようになっています。(下図)
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器具栓
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ゴム管口と器具コックから出来ています。
昭和30年代前半は、都市ガスの需要家数が急増したため、新たな都市ガス製造工場が建設されました。
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しかし、その製造されたガス中の一酸化炭素(CO)濃度は以前よりも高まっていました。
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このため、接続器具(接続具やガス栓)の使用誤りによる事故が急増しました。
主な原因は、
・ゴム管外れによるガス漏れ
・ガス栓の誤開放によるガス漏れ
・故意のガス自殺によるガス漏れ
などによる、生ガス放出によるCO中毒が急増したのです。
その後、都市ガス中の一酸化炭素(CO)濃度を減らすため、製造工場内にCO成分を低下させる装置(COコンバーター)を設置しました。
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これにより、都市ガス中のCO濃度は減少し、ガス栓や接続具の使用ミスによるCO中毒事故が減少しました。
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しかし、都市ガス需要家数はさらに増加したため、接続具関連の使用ミスによる生ガス中毒事故の件数は大幅には減りませんでした。
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使用ミスがあっても事故に至らないような、より抜本的な予防対策が必要であることが明らかになりました。
そのような状況を受けて、昭和30年代末頃から接続器具の安全性向上に向けた取り組みが積極的に進められるようになりました。
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昭和39年(1964年)には、利便性と安全性を兼ね備えたガス栓の迅速継手型(商品名:カチット)が開発されました。(下図)
昭和30年代に開発された安全ガス栓、バネカラン(バネ式ガス栓)には、ゴム管がガス機器側で抜けた場合に生ガスが漏れ続けるという欠点がありました。
この問題を解決したのが「ヒューズガス栓」です。ヒューズガス栓は、ゴム管が器具側で抜けて大量の生ガスが放出されると、ガス栓内のボール弁が作動し、ガス放出を自動的に止める構造を持っています。
この「ヒユーズガス栓」は、極めて効果的であり、各種ガス栓の安全装置として全国的に普及が広がりました。(右図)
昭和40年代に入り、それまで接続具として多く使用されていた赤・青ゴム管は、老化が早く、古くなると抜けやすく破損しやすい欠点がありました。
また、絹巻らせん管も同様に抜けやすく外れやすいことから、昭和45年(1970年)には製造が中止されました。
平成2(1990)年には、ガス栓・器具栓・接続具の関係を合理化して、「ガスコンセント」「ガスコード」「迅速接手」のシステム化を開発しました。
ガス栓の開閉つまみをなくし、接続具の着脱による開閉で、操作性が良く安性の高い「ガスコンセント」が初めて使われました。「ガスコンセント」に接続する「ガスコード」には、「ゴム管用ソケット」が必ず使われます。(下図)
平成8年(1996年)には、青ゴム管の製造が中止され、その後はより強度の高い「ガスコード」、 「ガスソフトコード(ゴム管)」、「強化ガスホース」、「金属可とう管」などが使用されるようになりました。
現在では、ガス接続器具による事故はほとんど報告されていません。
(7)ガス警報器(ガス漏れ・CO検知・火災対応)
ガス機器の事故防止対策としては、使用者が誤って使用しても重大な事故を引き起こさないように、ガス機器本体にフェイルセーフの概念が必要です。
それに加えて、機器自体の不良があった場合でも、異常時の状況を感知して警報を発し、事故の原因となる状況を未然に防ぐガス警報器の役割も重要です。
このための開発と普及が進められてきました。
ガス警報器は、単体としては、ガス警報器は単体として家庭でのガス機器使用に伴う事故防止に貢献しています。
しかし、地下街や大規模建物、共同住宅など複数の需要家向けには、ガス漏れセンサーとガス導管の遮断弁を組み合わせた安全システムとしての連動型警報器の役割が事故防止に一層貢献しています。
このようなガス警報器の普及は、平成20年代以降の都市ガスによる重大事故の発生件数を「ゼロベース」にすることに大きく寄与しています。
ガス警報器の開発においては、誤報対策の進化が重要な要素となります。
このため、センサー技術の改良研究は次の新商品開発へと繋がることになります。
その結果、微量成分を検知するための各種新製品が開発され、ガス関連事故の予防や火災防止対策、その他環境対策など、多方面にわたって活用されています。
都市ガス用ガス警報器の開発・普及の経緯は、以下の通りです。
当初、都市ガス業界ではあまり使用されていなかったガス警報器について、事故防止の観点から、都市ガスでの使用及び普及拡大を目指し、『ガス漏れとCOガス検知』の複合型検知・警報器の研究開発がガス業界と機器メーカーの共同で進められました。
昭和58年(1983年)に、都市ガス用として初めて大手都市ガス事業者による販売が開始されました。
その後、「マイコンメーター」の開発と普及がガス事故防止のために推進されました。
この期間中、ガス漏れや排気ガスのCO検知による事故防止機器として大きな貢献を果たしました。
現在でも、室内の排気ガスの異常を間接的に発見するなど、事故防止に役立っています。
平成12年(2000年)には、都市ガス警報器として、従来の火災報知器にCO検知機能とガス漏れ検知機能を追加した3センサー方式のガス警報器が販売されました。
(下図右)
さらに、ガス警報器とマイコンメーターを接続し、ガス警報器が作動した場合には、マイコンメーターに情報が伝達され、ガスを遮断する機能が追加されるなど、今日の『ガス事故ゼロベース』に貢献しています。
平成27年(2015年)には、従来のガス警報器に、熱中症予防警報や乾燥警報などの付加機能が搭載された製品も販売されるようになりました。
(下図左)