都市ガスはどのようにして安全になったのか?
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① IGF21計画とは 与したものがあります。前述の通り、その理由は主に二つあります。 一つ目は、都市ガスは、その 中にCOを含まないので、都 市ガスの漏れによる生ガス CO中毒がなくなったことで す。 二つ目は、天然ガス転換のた めに、事前に家庭内ガス機器 の設置状況などを全て調査し 、作業当日には、全てのガス 機器を天然ガスで使えるよう に調整するとともに、給排気設備も改善して、ガス機器が完全燃焼し、絶 対にCOを室内にださない仕組みにして作業を終えるからです。 以下に、その状況について、検証してみます。 まず、一つ目の、都市ガス中のCOによる中毒事故の死亡者数ですが、昭 和50年代前半までは、毎年20~30名でしたが、大手都市ガス事業者 の天然ガス転換が進んだ、昭和50年代後半には、その死亡者数は一桁と なり、大手都市ガス事業者の天然ガス転換がほぼ終了した、平成時代には いってからはほぼゼロとなりました。 二つ目の、天然ガス転換作業の際、ガス機器及び給排気設備の点検整備に より、ガス不完全燃焼によるCO中毒事故による死亡者数は、天然ガス転 換がほぼ終了した平成7(1995)年以降は、ほぼ一桁台に減ってきて います。ガス事故による死亡者数の減少の一因として、この天然ガス転換 作業も寄与していたのです。 東京ガスに続き、大阪ガスの天然ガス転換が終わった、平成2(1990) 年に、当時の通商産業省は、都市ガス需要家、ガス機器メーカー、都市ガ ス事業者の立場から、低カロリーグループの将来動向を見すえて、ガスグ ループの高カロリーへの統一が必要であると考えていました。 その具体策として、通商産業省は「Integrated Gas Family 21計画」につ いて、ガスグループの有り方の課題と検討の方向を提案しました。 この背景には、大手都市ガス事業者の高カロリーガス化により、低カロリ ーガスの需要家数がすくなくなるため、低カロリーガスグループのガス 5.全国的な天然ガス転換計画(IGF21計画)

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