都市ガスはどのようにして安全になったのか?
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重大事故になるので、絶対に「停ガス」は起こしてはいけないのです。 ガス導管は、地中に埋められているので、導管輸送量増やすためには、そ の都度道路を掘り起こし、大口径の導管に切り替えなければいけません。 戦後の復興と高度成長時代の大都市圏では、道路の舗装がどんどん進み、 一度舗装すると、ガス導管のために道路を掘削する場合、いろいろな障害 が発生します。 しかし、おなじ口径の導管内 に熱量の高いガスを流せば、 供給量が増えたのと同じこと になります。 低カロリーガスから高カロリ ーガスへの転換は、需要家数 が増えても、今までの導管を そのまま使えるというメリッ トがありました。 昭和30(1955)年代の 大都市圏では、人口が増えた ので、郊外に団地群、住宅群が林立するようになりました。大手都市ガス 事業者では、港湾に作られたLNGの受け入れ工場から、郊外の住宅に都 市ガスを効率よく供給するために、郊外をつなぐ高圧・中圧の輸送導管の ネットワークの環状パイプラインを作りました。 東京ガスの場合、東京~千葉間を結ぶ東京湾の海底幹線を日本で初めて 施工しました。この導管網の整備によって、都心も郊外も含め、都市ガス が効率よく供給できるようになったのです。 全国の都市ガス事業者の天然ガス転換によるメリットは、中小都市ガス 事業者にとっても同じく有効でした。大手都市ガス事業者が、港湾にLNG 受け入れ工場を造り、LNGから作った天然ガス供給のための幹線パイプ ラインを敷設すると、その幹線に近い中小都市ガス事業者は、その天然ガ スを使うことができるので、天然ガス転換もしやすくなります。その結果 として、中小ガス事業者の原料、導管などの問題点も、一気に解決される というメリットがあったのです。 ガス事故件数の減少にも寄与した天然ガス転換の目的は、急増する都市 ガス需要への供給設備の対応と、原料の確保、大気汚染対策などが主なも のでした。しかし、天然ガス転換による、ガス事故防止対策上、大きく寄 4.天然ガス転換に伴う旧型ガス機器の保安向上

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