都市ガスはどのようにして安全になったのか?
72/108

① 原料調達と公害対策としてのLNG導入 東邦ガスでは、昭和53(1978)年に天然ガス転換を開始し、平成 5(1993)年に終えています。 西部ガスは、平成元(1989)年に始めて、平成17(2005)年に 終わっています。 都市ガス事業者の使命は、 全ての需要家に対して、 24時間365日都市ガス を安定して供給し続けるこ とです。それにはまず、都 市ガスの原料を長期にわた って十分確保し、それを製 造工場で都市ガスにしてガ ス導管で全需要家に送らな ければなりません。 戦後の復興から高度成長期 へと変遷が始まる昭和30(1955)年代になり、京浜地区では都市 ガス需要家数は、毎年十数%、約40万件増えていました。 特に東京、大阪などの大都市圏では需要の伸びが目立ち、都市ガス原料 の確保は、最も大きな課題になっていました。 そんな時、アメリカのLNG輸出を取り扱っているいくつかの会社から、 東京ガスに対してLNGを輸入しないかとの打診がありました。東京ガス では、これを契機としてLNG導入の検討を始めたのです。 もともと都市ガスの原料は、長い間石炭でした。しかし、戦後、石炭採 掘労働者のストライキなど、いろいろな問題が起きるなどして、都市ガ ス原料確保に苦労していて、当時は比較的安かった石油系も補助的な都 市ガス原料として使っていました。 一方、昭和30(1955)年代は、人々が集中した大都市圏、その近 くの工業地帯では、石炭、石油の燃焼、車の排気ガス等の窒素酸化物、 硫黄酸化物等による大気汚染が発生し、大きな社会問題となってきてい ました。 LNGはそのような公害物質は含まない、クリーンな原料でしたので、利 用価値が大いにありました。 3.天然ガス転換の必要性

元のページ  ../index.html#72

このブックを見る