済成長に伴う大気汚染問題も、世の中で大きく取り上げられはじめまし た。そのような状況に対応するため、昭和30年代に入り、都市ガスの原 料に、熱量が高くて、大気汚染への影響が少ない、石油系が加わるように なりました。 さらに、昭和30年代後半に、東京ガスでは都市ガスの熱量をこれまでの 3600kcal/㎥から、5000kcal/㎥へカロリーアップを行う、熱量変更事業を 実施し、増え続けるガスの需要に対応しました。 東京ガスなど大手都市ガス事業者では、著しく増加する需要家対応、大気 汚染対応の抜本策として、昭和30年代前半から、将来を見すえて、LNG (液化天然ガス)の導入の検討を進めていました。 その結果昭和44(1969)年に東京ガスが日本で最初にLNGを輸入 し、都市ガス原料として使用を開始しました。 さらに、東京ガスでは、昭和47(1972)年から、急増するガス販売 量への製造設備、供給設備の対応、大気汚染抜本対策として、5000kcal/ ㎥から11000kcal/㎥への天然ガス転換事業を始めたのです。 大都市圏の大手都市ガス事業 者は同様に、大阪ガスは昭和 50(1975)年から、東 邦ガスは昭和53(1978) 年から、西部ガスでは平成元 (1989)年から、天然ガ ス転換事業を開始しました。 なお、東京ガスの天然ガス事 業は、開始から17年後の昭 和63(1988)年に、約 515万件の需要家に対して の転換を終え、事業を完了しています。 このような状況を受け、平成2(1990)年、当時の通商産業省は、こ ういった大手都市ガス事業者の天然ガス転換事業の進展にともなって取 り残されてしまった低カロリーガスを扱うガス事業者のために、「IGF (Integrated Gas Family)21計画」という計画を提案しました。 この提案は、すべての都市ガス事業者が、平成22(2010)ごろまで に11000kcal程度の高カロリーガス(13A)への移行を完了するよう、 業界を挙げて取り組むべきであるという内容です。 それを受け、日本ガス協会が中心となり、全国の都市ガス事業者、ガス機 器メーカーなどが「IGF21計画」を推進し、平成22(2010)年
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