消費者団体からは、抜本的な安全対策をすべきであると、都市ガス事業者 に対してたびたび要請がありました。 現在の都市ガス事業者は、家庭用 ガス機器全般について、すべてに フェイルセーフの設計思想を導入 しています。 基本的には、ガスの利用者が安全 を守ることが前提ですが、使い方 にミスがあっても、事故が起きな いよう、安全装置をつけるなど、 都市ガス事業者は一歩踏み込んだ 対策を行ってきました。 これは、ガスの利用者に、安全を周知するというソフト面だけでは、事故 が減らないので、ガス機器のハード面の対応(フェイルセーフ)を大原則 にしたのです。 このため、使用上のミスや老朽化による不完全燃焼などの不具合があっ ても、自動停止するような安全装置を標準仕様にしました。前述の通り、 昭和初期から30年代までは、ガス機器は安くないと売れないという考 え方が支配的だったので、安全装置はあまりついていませんでした。 しかし、ガス機器が普及し、利用者増に伴い、使い方のミスによる事故が 多くなり、安全装置が必要になってきたのです。そこで、安全対策は当然 のこととして、機器の使いやすさや便利さなどの付加価値を加え、総合的 に便利な商品を販売戦略として、普及させるという方法に切り替えたの です。 ガス機器は、ガス機器メーカーが主役ですが、事故多発時代には大手都市 ガス事業者が安全な設計仕様を提案してきました。 建設事業者に対し、新設の建物の設備設計時点で、ガス設備・ガス機器が 導入しやすいプランの提案や実行段階での施工管理でのフォローなどの 周知・PRなど実行してきました。 ガス機器の開発に関しては、安全性や商品価値のコンセプト(概念)につ いて、都市ガス事業者がガス機器メーカーとともに設計・製造・販売面の 活動を進めるなど、新製品の普及を広げる仕組みを作ったのでした。都市 ガス業界として、関係業界の支援をえながら、安全な機器の普及拡大を積 極的に進めてきたのです。 3.将来に向けたガス機器の安全化
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