都市ガスはどのようにして安全になったのか?
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(2000)年に「都市ガス死亡事故ゼロ」を目標とすることとし、具体 的な抜本策をたてて、それに沿った運動を展開しました。 その後、状況に応じて平成22(2010)年、平成27(2015)年 に目標を再検討し、当初の理想となる目標は段階的に達成されたのです。 このため、都市ガス業界が主となって、ガス機器メーカーとともに、ガス 機器の安全化の技術開発を進めました。 その結果、安全性+操作性やデザインなどで付加価値を高めた商品開発 が進み、今日の「死亡事故ゼロに近いレベル」につながったのです。 しかし、この時点では、既存のガス機器には旧型機器が存在していました。 また、業務用ガス機器も、多様な使われ方が主流だったため、安全重視の 考え方を継続して実施することが必要でした。 昭和50(1975)年~60(1985)年にかけての当面の対策とし ては、事故の予備軍である既設のガス機器の不良設備の改善を使用者に 要請したり、老朽化した不良機器取替を依頼するなど、徹底的な「ソフト 対策」を実施しました。 また、将来の抜本的な安全のために「ハード対策」としての技術開発を大 手ガス事業者とガス機器メーカーとが急速に進めることとし、その後、安 全機能の付いた操作性の良いガス機器を商品化していきました。 将来に向けて必要なことは徹底 的な機器の「ハード対策」です。 そのためには、今までのガス機 器や接続具、ガス栓などを徹底 的に調査・分析する必要があり ます。 都市ガス事業者が、主体となっ て機器メーカーや関係者ととも に、調査・分析をし、安全のた めの技術開発を促進し、安全装 置付きガス機器の普及活動を展開してきたのです。 この時点での基本的な考え方は、「たとえ使用者のミスがあっても大きな 事故にはしない」という「フェイルセーフ思想」でした。 この商品化の考え方が「マイコンメーター」(後述)の開発につながって ゆきました。 「マイコンメーター」は、ガス事故の防止だけでなく、大地震が起きた時 の火災防止にも効果を発揮し、最近の大地震災害でもガス事故防止に大 きく貢献しています。

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