火事は火の不始末や自然災害などが原因で発生しますが、その対策は消 火活動しかありません。本格的な防火対策は近年になって急速に進歩し ましたが、建物が耐火構造になっても火事はなくなっていません。 現代の日本では、防火への対策は、国が定めた法令と、それに沿った 地方自治体など公的な機関での防災対策が基本になっています。 ―江戸の火事と火消しー 江戸時代、江戸の人口密度は世界一と いわれるほど高いものでした。 「火事と喧嘩は江戸の花」と言われる ぐらい、江戸の町は火事が多く、この ため「火消し」という消防組織があり ました。町民の住む長屋は木と紙でで きていて、密集した建物の中で、薪や木炭で調理していました から、いったん火事が起きると、たちまち延焼し大火につながってゆき ました。 特に冬から春先は、乾燥した季節風にあおられて、大火になることが 多かったのです。 明暦3年(1657)「明暦の大火」は、江戸の山の手3か所から出火し、 北西風によりあっという間に燃え広がりました。この火事で江戸市中の 大半が焼け、江戸城天守も焼失しました。焼死者10万人以上、江戸時 代最大の被害を出した大火でした。 この「明暦の大火」だけでなく、江戸時代には大火事がいくつも発生し ました。幕府は、定火消し、大名火消し、町火消紙などを組織して対処 しましたが、それでも火事は減らなかったようです。 ―現代と都市ガス- 都市ガスという「火」が登場した現代の日本ですが、都市ガスの使用環 境は昔と違っているので、都市ガスを使う人が注意すればよいというこ とだけではなく、都市ガスの供給者やガス機器を製造する人達も、共同 で都市ガスの安全性を高めることが必要になってきました。何故なら、 事故が発生すると、一般の商品と違って、人の生命・財産に影響するの で、特に都市ガスの供給やガス機器を提供する側は、法律上の責任と同 時に、道義上の責任も負わなくてはならないと認識する必要があるから です。 ④火事など災害の問題
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