② 天然ガス転換を通じて、全国的にガスグループを統一化することが必 そのためには「都市ガスというエネルギーは使い方を誤ると危険」という考え方を徹底することである。 要である。 一方、ガス機器がなければ、都市ガスの販売量が増えないので、都市ガス 事業者はガス機器メーカーに、安全面を考慮した機器の開発コンセプト を提供し、製造したガス機器の販売面は、都市ガス事業者が積極的に拡販 するという経緯がありました。 安全対策面では、我が国にガス機器が導入されてから、機器の使用に伴う 安全については、使い方を理解させるというソフト面での対応になって いて、事故が起きてから対策を行えばいいという「事後対応」の考え方が 主流でした。 これは、当時の社会全体に広まっていた考え方であり、他の業界でも同じ 思想でした。 しかし、都市ガス事業の普及拡大により、事故が多発してくると、都市ガ ス事業者としても、多様な使用者に対して「安全周知」という「ソフト対 策」だけでは限界を感じていました。 たとえ事故の責任が使用者にあっても、人の生命・財産に影響を与えては いけない、そのために、安全は「ハード対策」指向として、機器に安全装 置を内蔵化しなければならない、それを具体的に実施していこうという 判断を当時の都市ガス事業者の経営陣がしたのです。 昭和55(1980)年、当時の東京ガスの社長であった村上武雄氏(日 本ガス協会会長でした)の言葉に以下のようなものがあります。 ① 都市ガス設備は近代化しなければならない、 これは将来の都市ガス事業の近代化に必要な思想でもありました。 この考え方は、仮に使用者側の ミスがあったとしても、大きな 事故にしないという「フェイル セーフ」思想を取り入れた経営 政策でした。 法の基準を超えた自主的な「予 防保全型」の思想を、大手都市 ガス事業者の経営者が率先して とりいれたのです。 都市ガス業界の団体である日本 ガス協会の基本方針として、各都市ガス事業者の経営方針を平成12
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