このころから、日本の家屋は木造系住宅が主流だった時代から鉄筋系の 建物に変化してきました。 昭和30(1955)年に設立された日本住宅公団が建てた共同住宅は、 生活環境を大きく変えました。 2部屋または3部屋の住宅に浴室が付き、キッチンにはテーブルコンロ と流し、さらに小型湯沸器がついている構造なのですが、風呂釜や小形湯 沸器、テーブルコンロは居住者が購入することになっていました。 当時としてはモダン住宅といわれたこの様式が民間の賃貸・分譲住宅な どの共同住宅の全国的なモデルになっていたのです。 浴室の風呂釜は、当時市販されていた通称CF型といわれた排気筒型風 呂釜でした。 風呂釜自体は居住者が購入するのですが、排気設備は、家主である個人や 日本住宅公団側が設置するものでした。 当時のこうした住宅設備は、風呂釜排気筒の設置基準に合致しないもの があり、不完全だったのでCO中毒が発生したのです。 民間住宅の戸建住宅や共同住宅でも、同じような事故が起きていました。 また、小形湯沸器を気密性の高い住宅で長時間使うと、換気不良による CO中毒が発生することがありました。 この対策として都市ガス事業者等関係者は、小形湯沸器の安全使用に関 する周知を徹底して行いました。 風呂釜対策として、日本住宅 公団は、日本ガス協会との共 同研究で画期的なバランス型 風呂釜を開発しました。 バランス型とは、密閉した機 器を同じ位置で給気・排気の 設備をすれば、燃焼による排 気ガスの上昇力で機器の内部 で排気処理され、室内の空気 を使わず、すべて屋外の空気 を使って、機器の燃焼を行う ことができる仕組みなのです。 昭和40(1965)年以降の建設分からは、安全な風呂釜が設置される ようになりました。 この住宅公団方式は全国的なモデル住宅となり、他の公営住宅や民間の 共同住宅にも採用されるようになり、事故防止に大きな貢献をしました。
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