都市ガスはどのようにして安全になったのか?
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③ 暖房機器について ④ 接続具について 人体に大きく影響する危険性がありました。 ガス暖房機器も、当初は外国からの輸入品でした。外国では薪や石炭等を 燃料とする暖炉には専用の煙突がついていたので、そこにガス暖房機器 を取り付けても煙突はそのまま機能します。 一方、国産のガス暖房機器は当初、火鉢、炬燵などの代わりとして発展 したため、室内の酸素を使って燃やす小型の開放型機器でした。 昔の木造家屋は比較的換気が良かったのであまり問題は起きませんでし た。しかし、近年の木造家屋や集合住宅などは気密性が良く、時々窓を開 けるなどの換気をせずに長時間使うと、酸欠による不完全燃焼からCO 中毒事故を起こす危険性をはらんでいました。 ガス栓と各種機器を結ぶ接続具については、赤・青ゴム管が多く使われて いました。この製品の問題点は、ゴム管の老朽化によるひび割れや、ガス 栓との装着不良による外れなどの現象があり、都市ガス(石炭ガス系のガ ス)の漏れによるCOガス中毒が発生していました。 黎明期のガス機器メーカーは、外国の情報を参考にしてガス機器を製造 する、小規模での少量生産体制でした。 都市ガス事業者としては、都市ガスを使用する手段としてガス機器がな ければ普及が図れないのですが、戦前・戦後の状態では、都市ガス事業者 は、都市ガスを供給する設備の安全面を重視していたため、ガス消費機器 の分野についての安全は、ガス機器メーカーや使用者側にお任せにして 深く関与していなかったようです。 そのため、当初の小規模レベルでの製造体制では、安全などの品質確保面 や大量生産体制などが対応 できない状態でした。 当時のガス機器メーカーは、 ガス機器本体の機能に関す る認識が低く、大事な排気 処理部分の設備については、 外部の排気筒設置業者の取 り扱う分野とみなしていた 3. 黎明期のガス機器メーカーの状況

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