戦後になって生活様式の変化もあり、厨房用ガス機器、温水給湯用湯沸器、 風呂釜などの普及、暖房用では従来の火鉢、炬燵などから部屋全体を暖め るストーブなどの暖房方式に変わっていきました。 ガスストーブ、石油ストーブ、電気ストーブなどを一般庶民が使い始めた のです。 ガストーブの主流は、戦前と変わらずスケレトン式ストーブでしたが、新 しい形の国産スケレトンストーブも各種製造販売されるようになりまし た。 ガス風呂釜以外は、ガス灯も含めて各種ガス機器は当初、すべて欧米から の輸入品でした。欧米では、基本的にガス機器使用者が安全に責任を持つ のが当たり前でした。普通に使っていて事故が起きると、都市ガス事業者 やガス機器メーカーに責任はなく、使用者の自己責任というのが欧米の 考え方です。 この考え方を受けて、黎明期のガス機器には、ガス機器の使い方が悪くて も事故は起きないという安全装置は付いていませんでした。日本固有の ガス風呂釜についても、従来の薪、石炭等の風呂焚口に、ガス風呂バーナ ーを入れるという考え方だったので、特に安全装置は付いていませんで した。 都市ガス(当初は石炭ガス系だっ た)の中に含まれているCOによ る自殺事故は時々起きていました が、それでも都市ガス事故があま り発生しなかったのは、当時のガ ス機器使用者が少なく、限られた 人だったことと、昔の木造家屋は 換気も良く、酸素不足によるCO 中毒のリスクが少なかったからだ と考えられます。 昭和の時代に入ると、ほぼすべて のガス機器が国産化され、少しず つ普及・拡大が進んでいましたが、 前述のように換気の良い日本固有の木造家屋だったため、後日、社会問題 となるような都市ガスによる死亡事故はあまり多くありませんでした。 ただ、鉄筋コンクリート造りなどの気密性の高い住空間でつかっていた 2. 黎明期のガス機器の安全対策
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