① 人間と火 現代のライフラインのうち、都市ガスは熱エネルギーと しての役割を担っています。 都市ガスのルーツは火力としての「火」であり、「火」は 特別なものとして常に人間のそばにありました。神話や 伝説などに火にまつわる話は沢山あります。火が人類に とってたいせつなものだったからこそ、神話の時代から 神聖視されてきたのでしょう。 世界中の民族が、火を神聖なものとして扱ってきました。火には、人間の 気持ちを奮い立たせたり、反対に鎮める力もあり、火のあるところは常に 集いの場でした。 火の取り扱いを誤ると危険なことは、現代でも、木材や石炭などが主な燃 料であった昔と変わりません。科学や経済社会が進歩して、火の使用環境 が大きく変わっても、注意して火を扱うという基本は全く変わっていま せん。 熱エネルギーの源は、以前の木材や石炭などから、今では、天然ガス、 LPガス、電気、石油、原子力等に変わりました。 17世紀にヨーロッパで開発された石炭ガスは、19世紀には都市ガス としてイギリスで事業化され、まずは照明用としてガス灯に使われ、後に 煮炊き用などの熱源として使われるようになりました。 人々は、ガス機器を使って暮らしを便利なものにしてきましたが、使用者 個人が「注意して使わなければならない」という思想は、当時から今日ま で変わっていいないのです。 旧石器時代から人類は火を使っていたと言われますが、火が人類にとっ て特別なものであることを後世に伝えていると思われる伝説や神話は世 界中に沢山あります。西洋ではギリシア神話のプロメテウスの火の話が 有名です。日本でも古来、各地の神社の儀式や祭りには火がいろいろな形 で使われています。 現代社会でも、各地の祭礼のかがり火や、仏壇や教会の祭壇のろうそくの ➁縄文時代から現代まで 第1章 都市ガスの歴史と保安 1. 太古から「火」は貴重な存在だった
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