都市ガスはどのようにして安全になったのか?
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消費意欲が広がり、物がどんどん売れたことなどが推進力となったので す。 高度経済成長による国民の所得向上で都市ガスの需要も増加し、家電機 器と同様にガス機器も良く売れました。一方、ガス機器の設置環境や、換 気不足での長時間使用などの習慣は以前のままだったので、都市ガスに よるCO中毒事故が多発するという事態が起きていました。 そこでガス事故を減らすため都市ガス業界が中心となり、通産省(現在の 経済産業省)ほかの関係官庁、消費者団体、マスコミなどの協力を得て徹 底的な再発防止の戦略・戦術を策定し、安全化を促進したのです。 高度成長の波に乗って、さらに都市ガスの需要が増え続けたため、都市ガ スの原料には、原油、LPG(液化石油ガス)、石油系のナフサなどからで きたガスが混在していました。このため、全国の都市ガス事業者毎に供給 熱量や成分が違い、需要家が転居したりすると不便なことがありました。 全国の都市ガス事業者は、製造原料の違いにより13種類に分類された ガスグループの中からガスの種類を選んで供給していました。 また、昭和20年代後半から、都市ガス導管が敷設されていない地域では、 地点供給方式として、液化石油ガス(LPガス)を鋼鉄製容器(ボンベと 呼称)に詰めて販売するLPガス販売会社が増えてきました。 LPガスは石油精製工程で副産物として生まれたもので液化石油ガス(通 称プロパンガス)といわれました。 こうして高度成長期に入った日本のエネルギー需要は爆発的に増え、LP ガスの需要も増えていきましたが、安全対策が遅れていたため、各地でガ ス漏れによる爆発事故が起きていました。このため、LPガス業界では、 都市ガスに先立ってガス漏れ警報器が普及していきました。 昭和44(1969)年東京ガスでは、高度経済成長で増え続ける都市ガ ス需要と増えてきた大気汚染などの環境問題の解決策として、石炭や石 油系のガスから液化天然ガス(LNG)に原料を切り変え、導入を開始しま した。また、輸送供給量の増加に対応するため、高圧導管を敷設する工事 なども始まりました。 石油価格の3割高といわれた時代に、将来を見越してLNG導入という 決断したことは、社会から快挙といわれました。 東京ガスの天然ガス化に大阪ガス、東邦ガスも続き、さらに全国の都市ガ ス事業者にも広がりました。 都市ガスを天然ガスにするためには、天然ガス転換という作業に長い期 間がかかりました。 おかげで全国に13種類あったガスグループは1種類に統一され、都市

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