都市ガスはどのようにして安全になったのか?
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それが「マイコンメーター」です。 具体的には、室内のガス設備から漏れるガス量を検知し遮断すること、 或いは、使用者が室内型ガス機器(小型湯沸器、開放型ストーブなど) を長時間使用した場合、異常値を検知し、ガスを遮断することです。 ガスの放出を防ぐ機能などの個別の安全対策と併行して、自然災害時、 特に大地震発生時の安全対策として「感震器」(地震の振動を検知)の機 能も付加しました。 これにより、建物内ガス設備については元からのガス遮断により、火災 などの発生防止の役割を果たす効果が期待できたのです。 昭和55(1980)年12月、集合住宅内でガス自殺関連の爆発事故 が発生した際、当時の東京ガス社長である村上武雄の発想と示唆により、 具体的な戦略的商品開発が始まりました。 当該爆発事故を報告した際、村上社長がつぶやいた言葉は、「電気のブレ ーカーのようなものが作れないのか」というものでした。 直ちに技術系役員に指示が出され、その指示内容は「目標価格5000 円、2年間で商品化の開発研究」というもので、極めて明快な経営判断 が下されました。 昭和56(1981)年1月、社内の商品開発部に緊急のプロジェクト チーム(部長:藤本訓考、リーダー:川瀬晃)が設定され、具体的な商 品開発に着手しました。 都市ガス需要家の室内配管からの抜本的なガス漏れ対策は、従来からも 社内の開発技術者にとって重要事項であり、研究を継続していました。 しかし、ガスメーター内のガス通路に異常時のガスを簡単な装置で遮断 する仕組みでは、従来の発想ではコストが高くなるため、悩んでいまし た。 しかし、ガスメーター内のガス通路に異常時ガスを遮断するという画期 的なアイデアには、異常を判断し遮断弁を作動させるための指令装置な どの電源が必要であり、これらの部品の調達など商品開発が難関でした。 当時の社会環境では、これらの部品に応用できる要素技術が日本の家電 メーカーなどで次々と開発されていた時代であり、低消費電力のマイコ 2.東京ガス(株)におけるマイコンメーター開発の経緯 (1)開発のきっかけ (2)開発の経緯と普及

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